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コミュニケーション力 斉藤孝(著)
岩波新書(岩波書店)

以前当ホームページでご紹介しました「読解力」の姉妹編です.著者は「いま,メールやケータイ,ファックスによるコミュニケーション
が急増しており,そうであるだけに面談の効用が見直されるべきである」としています.これと同時に現在の日本人は,とかく人と距離をとり
がちであり,特に若年層におけるコミュニケーション能力の低下にも危機感を抱き,本書を執筆したそうです.
本書は「コミュニケーション論」の教科書ではなく,いかに実りあるコミュニケーションを行うようにするかということと,それを実現する
ための訓練や方法が書かれた実践書です.コミュニケーション力は「文脈力」であるという立場から,多角的な視点でコミュニケーション能力
の向上方法を述べています.
本書は「コミュニケーション力とは〜文脈力という基本〜」,「コミュニケーションの基盤〜響く身体,温かい身体〜」,「コミュニケーションの
技法〜沿いつつずらす〜」の三部構成ですが,筆者にとって参考になったのは後者2つです.人間にはそれぞれ癖がありますが,それがコミュニケーション
に味わいを与えているのだそうです.また,対話力や表現力を養うために「演劇的身体でモードチェンジ」することも推奨されており,人間社会を生きていく
中でそのことがいかに有用かが述べられています.
第3部「コミュニケーションの技法〜沿いつつずらす〜」は本書で最も有用な部分です.当解説で紹介してしまうと,本書を購入されるインセンティブの
下がる恐れが生じますので,割愛させて頂きます.
これから就職活動をする学生さんには是非一読して頂きたい著作であると共に,人とのつきあいに自信を持てない方に対しても十分内容のある
本です.
きっと、よくなる! 本田健(著)
サンマーク出版

お金のカウンセラー,本田健が贈る,人生を幸せにするヒント集.当HPと相互リンクをしている「自分を変えれば世界が変わる」にオススメ情報
として本書の小冊子が紹介されており,これを基に購入しました.本書ではいかに日常生活で幸せを感じるか,またそのためには具体的にどのように
すれば良いかが述べられています.メンタル面では著者が述べていることは三大宗教と共通するところがあり,あまり新鮮なものには感じませんでした
(私自体が三大宗教の1つに身をおいているため),お金とポジティブな付き合い方に関しては参考になりました.
筆者自身,現時点では人生の底辺にいるかもしれません.しかし,このことを味わっているから,将来私のように苦悩している人がいれば,必ず助ける
ことができると思うようになりました.もう一度私の信仰している教典を勉強し,幸せになりたいと思います.
本書の内容を具体的に知りたい方は,
本田健の幸せな小金持ちになるホームページへ行ってご確認ください.
希望格差社会 〜「負け組」の絶望感が日本を引き裂く〜 山田昌弘(著)
筑摩書房

「パラサイト・シングル」という言葉の生みの親である東京学芸大学教授,山田昌弘の著書.佐藤俊樹著『不平等社会日本』(中公新書)
に端を発するこの手の本を読むのは『不平等社会日本』以来となりました.本書は様々や要素がリスク化,二極化し,いわゆるニューエコノミー
の中で希望を持てないことが,現在における様々な事件事象に具現化されていると指摘しています.
著者は「現在日本に生じている生活の不安定化は,国際社会の枠組みや世界経済の変化に伴って生じているものである.つまり,リスク化や二極化
,更には人々の不安拡大や青少年の希望喪失は,日本だけでなく,アメリカを始めとして多くの先進国の先進資本主義諸国に共通して起こっている
現象である」としながらも,日本固有の問題として「フリーター」「パラサイト・シングル」を挙げ,世界情勢および,日本の変遷を追いながら
本論を展開していきます.
二極化の問題点としては「努力しても克服できないほどの溝が存在し,これが希望を抱けなくしている」点でしょう.そして,それが生み出された
背景を概観し,リスク化と二極化の相互連関を導きます.
また,戦後安定社会が結果的にいかに安定していたかを述べた後(これは戦後安定社会回帰論ではありません),それぞれの不安定要素の出現とその
具体例に焦点が当てられます.その三大要素として「職業の不安定化」「家族の不安定化」「教育の不安定化」があり,それぞれにリスク化,二極化
している実態が挙げられます.そして最後にこれらの結果,人々自体が二極化し,不安定な人々は希望を喪失し,これが社会に与える影響を論じます.
主に具体例としてあげられているのは若年層です.若年層は最も社会的影響を被る年代であり,現代社会を反映しているものと思われます.「今の
若者は〜」云々の意見では済まされない現代社会の問題点が明らかになる著作です.
本書は是非様々な立場の方に読んで頂き,現実を直視する機会としていただきたく思います.恐らく新書として残るものであると思います.
安らぎの処方箋 〜たった1分,不思議なくらい自身が湧いてくる〜 斉藤茂太(著)
知的生きかた文庫[三笠書房]

「茂太(もた)先生」という愛称で呼ばれるほどの心の名医,斉藤茂太(しげた)が贈る,心の中にゆとりを取り戻し,気楽な
生き方を提案する本.軽いタッチで気持ちが楽になり,不思議と心が楽になります.本書はそんな気持ちが楽になり,心が強く
なるヒントを,見開き2ページ構成,計94項取り上げています.そのうち,筆者自身が勉強になったのは以下の項目でした.
9.こんな「勝手な期待」,裏切ってもだいじょうぶ
25.今日一日の充実度を高める「カメレオン・バイタリティ」法
41.上手に人をおだてるのは,ひとつの「心の演出」です
50.女性に「すかれるしつこさ」「嫌われるしつこさ」
59.自分が悪くても反省は"ほどほど"でいい−−−これだけの理由
63.要注意!こんな「秘密のハードルが低い人」
72.「サラリーマン独特の疲れ方」を取り除くには
73.一度,「遊び」と「仕事」の時間を逆転させてみる
75.こんな「サービス精神」で,あなたは魅力の発光体に!
77.コンプレックスの「いい生かし方」−−−たくさんあります
89.月曜日がちょっとつらい人へ−−−「欲求不満耐性」の高め方
91.<末っ子の行動学> ちょっとずる賢い人間関係
94.人生を楽しく前向きに生きるには,「心を上手に休ませること」が欠かせない
日々の生活に疲れたとき,茂太先生の文章が心に響きます.その他の著書もたくさんありますので,再読した際や新しく購入した
際にまた扱いたいと思っています.
コンプレックスに勝つ人,負ける人 鷲田小弥太(著)
PHP新書[PHP研究所]

少しでも目立たないと満足できない.少しでも人より惨めだと気持ちが萎えてしまう.本書はこのような「コンプレックス」
に焦点を当て,いつも周りと比較し,ほんのわずかな差に心を痛める,横並び意識の強い現代人に処方箋を与えます.
「私は恵まれていない」「自分の方が優秀なのに」このようなコンプレックスは誰もが感じるもの.人はみな劣等感を抱いて
生きています.しかし,それはいけないことなのでしょうか.また,根絶すべきものなのでしょうか?
本書は「学歴コンプレックス」「知的コンプレックス」「容姿コンプレックス」「家柄コンプレックス」「承認コンプレックス」
を扱い,そのコンプレックスをどう考え,また,どうプラスに考えるのかを指南しています。
コンプレックスを抱くことは抱いている相手との差がほとんどないということだと著者は言います.この発想が筆者にはありま
せんでした。差が大きいとコンプレックスさえ抱かない.そうだとすれば,コンプレックス大いに結構ではありませんか!
そうなれれば,前向きに考えることができるのですね.
ただ残念なのは本書が大学の授業風に書かれていることでした.できれば,後世に残るように,文体を整えていただきたかった
です.鷲田先生の本は結構いいものが多いので,機会があればまた紹介したいと思います.
渋沢栄一「論語」の読み方 竹内均(著)
三笠書房

静かに,しかし着実に売り上げ部数を伸ばす,いわゆる「隠れ名著」です.本書は東京大学名誉教授の竹内均氏が日本資本主義の
父である渋沢栄一著「論語の読み方」を現代語訳したものです.
本書は人間道徳の教科書とも言える「論語」を「論語読みの論語知らず」に陥らないよう,懇切丁寧に解説しています.本書の
随所から渋沢栄一氏の人徳の高さが伺え,筆者もこのような人間像に一歩でも近づきたく思いました.筆者は「論語」に高校生時代
から興味を抱き,いろいろな文献に目を通してきましたが,そのなかでも本書は筆者にとって最も分かりやすく,かつ実践的である
ように思われたので,ここに紹介するに至りました.
道徳認識が薄弱な日本人にとって,本書はとても有意義です.小学校での道徳の授業は名ばかりで,実際に道徳を学ぶ時間など
存在しません.筆者は孫子の兵法が「戦略」の書であるとするならば,論語は「実践道徳」の書であると考えます.孔子の言う「仁」
とは何か,その仁に至るためにはどのような過程が必要なのかに注目し,本書を拠り所にして実践すれば,少しでも仁徳を有する
人物に近づけるのではないか,と勝手に思っています.
ただ一つ残念なのは,原文で紹介されていない点です.原文,書き下し,解釈という手順が踏まれると,本書はより重厚になる
のではないでしょうか.
器用に生きられない人たち 〜「心の病」克服レシピ〜 斉藤弘子(著)
中公新書ラクレ[中央公論新社]

社会が病んで行っている...しかも加速度をつけて.これが私の見解です.本書は,人や社会は何故病むのか,また背景には
何があるのか.「心の病」にかかり,人生につまずいてしまったとき,どうすればいいのか.典型的な症例と新しく生きていくため
のヒントが書かれています.
私も症候群を患っていると認識させられました.その名は「明朗仮面症候群」.本当に私にピタリと当てはまるのです.文章を
読んでいると私の心の内が洗われているようで,驚きました.
今現在も憂鬱な状態が続いています.恐らく社会へ出ることの不安からなのでしょう.心の中の何かがパリパリと音を立てて
壊れていくような不安感です.精神科へ行った方がいいのでしょうか.
本書の帯が,本書の内容を端的に表していると思いますので,以下に掲載しておきましょう.
『「心の病」といっても,かつてのような閉ざされた精神疾患ではなく,誰でもがかかりうる現代人の病であり,社会の病でも
あるのです.それは,経済情勢や雇用環境,ライフスタイルや価値観なども大きく変わってきた現代社会の中で,生きづらさを
感じ,器用に生きられない人たちの姿を映し出しているといっても良いでしょう』
これからは自分の心にできるだけ耳を傾け,忠実になれるような時間を設けたいと思います.
読書力 斎藤孝(著)
岩波新書[角川書店]

本書の著者である斎藤孝は『声に出して読みたい日本語』の著者としても有名です.本書は読書という行為がいかに私たちの
人格を形成し,社会貢献しているかを分かりやすく解説しています.
「読書力がある」とは如何なるものなのでしょうか.本書で著者は「読書好きと「読書力がある」は違う.もちろん一致する
場合も多いが,好きな推理小説作家の作品だけを読み続けている人は,読書好きとは言えるが,読書力があるとは言えない」と
述べています.即ち「読書力」とは「精神の緊張を伴う読書」をすることができ,広範囲の本読み,かつそれを端的に要約できる
能力があることを指すと考えられます.
「文庫100冊,新書50冊」.これが読書力があるという前提条件になります.この部分を読んだ際,私も共感しました.この程度
の読書は皆がしているものと思っていましたが,現在の筆者を含めた30代以下の世代は大半の方がクリアできていないようです.
たとえクリアできていたとしても,同分野同傾向の本に傾向してしまっている人が多いようです.これは非常に危険で,極限的には
カルト教のように傾倒してしまい,他の考え方を柔軟に取り入れることができず,狭い認識しかない薄い人間になりかねません.
本書でも,著者はこの点を指摘し,バランスのある読書を強く薦めています.
本書は読書方法の再考を促すと共に,学力低下や社会的腐敗が読書をしないことによる側面を指摘し,それらと真剣に向き合い,
読書ブームの再興を促そうとする著者の意気込みが感じられます.読書は人格形成をし,自己を鍛え,自己を広げるものである.
この当たり前のことが当たり前ではない現代社会に警鐘を鳴らすこと自体が,筆者にとっては危機迫るものに感ぜられてなりません.
では何から読めばいいのか,分からない人のために,本書巻末には文庫百選が載っています.この程度は少なくとも大学生のうちに
読了しておかなければならないものばかりです.特に筆者が本書と共に声を大にして言いたいのは「バランスの良い読書」をしなければ
新しい発想など得られるはずがない!,ということです.
本書には従来の読書法と著者が考案した新しい読書法も掲載されています.読書力があると自負される方も確認の為に一読されること
をお奨めします.
しぐさで心理を読む方法 〜ココロと動作の不思議を解く人間観察学〜
山辺徹(著) KAWADE夢新書[河出書房新社]

今回からは丁寧体で失礼します.これはFictionの書籍紹介と統一するためです.
本書は心理学の観点から書かれた対人心理術の書籍です.相手の立場に立脚して考える場合,相手が何を意識しているのか,また
どのような感情を抱いているのかがある程度分かればコミュニケーションの糧となります.例えば額や頬,髪をいじりながら話をする人の
深層心理はどのようなものなのでしょうか.本書では特に人々が日常的に行っているこのような「しぐさ」に着目し,そのしぐさの起こる理由と
その対処法を簡潔に述べています.
コミュニケーション不足が社会問題になりつつある現在の日本においては,このような人間観察学の力を借りてコミュニケーション能力
向上を図ることも必要なのかもしれません.
しかし,これらの知識を有するからといって,これらの知識を悪用,即ち人を見下すといった行為をしてはなりません.これら知識は
あくまでコミュニケーションツールとして用いるべきです.
オニババ化する女たち 〜女性の身体性を取り戻す〜 三砂(みさご)ちづる(著)
光文社新書[光文社]

表題からして挑戦的な内容と推測され敬遠する方もおられるだろう.本書は賛否が激しく分かれると思われる内容だ.
本書の表題としてはむしろサブタイトルが正しいと思われる.女性がどのように女性としての誇りをもつかに焦点があてられている.
たとえば,人間あっての医療のはずが,いつの間にやら立場が逆転してしまっている.これはお産という観点からしても,女性性を
軽視するもではないかと指摘している.そして医療を鵜呑みすることにより,女性が女性らしくなくなってきていることに警告して
いる.
また「お産は怖いモノ」という風潮についても警鐘を鳴らしている.このような先入観が女性の子供をもうけるという意欲をそいでいる
のではないかと述べている.また,それを払拭するべく,著者はブラジルや先住民族,そして2世代前の日本人の風潮を示し,お産について
もっと肯定的になってほしいことを示唆している.
しかし,筆者にとって気がかりだったのが,これらのことを強調するあまり,「一人ひとりの多様的な生き方を尊重する」観点が抜け落ちている
ような気がした.また,「看護婦さんで美人で独身の人は、医者と不倫している」,「女はあれこれ贅沢をいわず手近な縁のあった男と結婚してさっさと子供を産め」
などの差別発言ともとられかねない表現があった.筆者は特に「女はセックスや本能に翻弄されて生きるもの」という趣旨の表現に関しては
不適切である考える.また,「女性は早めに子どもを生んで、少し仕事をしながら育児をして、40代からバリバリに働くのが理想」という著者の考え方は
この社会の中でどの程度の現実性があるのかも疑問だ.現実的で具体的な処方箋が提示されていればまだしも,理想論ばかり語っていたのでは説得力
がない.
また,新書という形態をとっているにも関わらず,「講義形式」即ち文体が統一されておらず,編集者の能力も問われる.
外国語学習に成功する人,しない人 〜第二言語習得論への招待〜 白井恭弘(著)
岩波科学ライブラリー[岩波書店]

本書は言語学を基礎として,どのようにすれば効果的に第二言語を習得できるかをテーマにしている.副題の通り,言語学の
傾向が強い.
そもそも何故日本人は英語を身につけることが困難なのか?その一つに動機付けがあげられる.英語が話せないと生活できない
という状況がないため,ともすれば動機があやふやである.
本書の特徴は,言語学という「科学」を用いて客観的に年齢や適性,性格など,外国語学習に成功する人の資質を考察している点である.
さらに,これらに触れた後,習得法理論の歴史的変遷をたどり,最適な学習法をさぐる.その成果は「付録」に集約されている.
本書を読んだ感想は,私が実践していた勉強法とさほど変わらないということであった.試行錯誤して勉強してきた方がたどり着く
勉強法はやはり経験則といえども正しいといえよう.1155円は若干高い気がした.言語学の入門書としては有意義であろう.
精神力 古賀稔彦(著)
角川Oneテーマ21[角川書店]

著者はオリンピック金メダリスト.前から筆者が探していた本がようやく手に入り,早速読んだ.やはり勝負の世界で一流に
なる方は1つのことに情熱を傾ける気概が違う.本書は著者の柔道経験に基づき,どのように精神力を鍛錬していったかが
書かれている.
精神力と聞いて読者が想像されるのは何であろうか.筆者が想像したのは「根性論」であった.しかし,本書はそうではない.
ピンチに陥ったとき,人は誰しも(もうだめかもしれない)と思うだろう.しかし,ここで著者は「まず原点に戻」り,その根底
部分からピンチの原因を模索することによって「新しい道が開ける」としている.このとき,絶対してはならないのが「妥協
すること」.この「心の構え方」を心得え,自問自答することが大切である.
人は皆仕事にしろ,人生にしろ,某かの目標を持つ.このとき,その目標は自分自身で設定したものなのであろうか.もしそうで
あれは長続きするであろうが,他者によって設定されたものである場合,著者は「勇気をもって自分の考えを真剣に指導者に伝え」,
納得することによって自主的な目標にすることを進めている.そうすることによって自主的決定と認知でき,主体的かつ意欲的に
行動できる.
筆者にとって最も参考になったのは「101の1の力」である.何事も精力的にこなし,自分自身を厳しい状況に晒すことによって,
常に100の力を出せるよう訓練する.そしてその積み重ねが大切な場面で「+1(プラスワン)」となって実を結ぶというものだった.
また,本書では時間と内容についても述べられている.ここでは省略するが,要は内容,つまり質の高さを追求することが大切
であるということだ.この点については,本文を参照してほしい.
筆者自身もスポーツをしていて,勝つことに人一倍こだわってきたつもりであったが,著者のような気概を持ち,信念を貫いてはいなかった.
恥ずかしくなる思いである.本書は精神力をいかにして養うかのヒントが,著者の人生経験を通じて随所に鏤められており,大変参考に
なる.大切なことは「原点に戻って考える」ことに尽きるだろう.
意思決定を間違わない人の習慣術 中島一(著)
KAWADE夢新書[河出書房新社]

誰しも最善の結果を得たいと考えるであろう.本書は最善の結果を得るための思考プロセスを具体的に,かつ分かりやすく
順を追って提供してくれている.
意思決定を間違える人とそうでない人の差はどこにあるのか.本書では以下の4項目において,常に意識し,行動しているかに
よって決定するとしている.それらは
@目的ははっきりしているか.
Aどこに狙いを定めるのか.
B目的を実現する上で最善の案は何か.
Cリスクはどうするか.
である.これらを明確に,かつ具体化することによって,意思決定の精度を上げることができるとしている.
本書は,@何のために何を決めたいのかを明らかにし(目的と決定事項),A何を達成すれば決定事項が実現するのかを明らかに
し(期待する効果=目標),B目標を達成するために案を複数挙げ,最適案を選ぶ(案の選択).そして,C最適案
を実行する際のリスクを予測し,対策を用意し(リスク対策),D選択した案を実行し,所期の目的を達成する(実行)の
5つに分け,それらを具体例を使いながら丁寧にそれらの技術が実行できるように説明している.
筆者が特に興味深く読んだのはC「最適案を実行する際のリスクを予測し,対策を用意する(リスク対策)」の解説
であった.本書を読み,何でもすぐに行動してしまう自分自身を反省すると共に,各章の末尾にあるまとめを手帳に
書き出し,即実践できるよう心がけるようにしたい.
本書を通して,本当のプラス思考とはこのような思考から自然に生まれてくるもので,巷のプラス思考本の内容が
薄く感じられた.
集中力 谷川浩司(著)
角川Oneテーマ21[角川書店]

将棋界を担う棋士の谷川氏による集中力指南.谷川氏の棋士人生をたどりながら,時間に追われつつ結果を求められる現代人に
向けた「光速流集中力」を紹介する.
氏は「20代の苦労は新しい創造へとながり,30代には社会が求める人間作りが必要である」と指摘する.この部分を頭に入れながら
以降の部分を読んでいくと,本書は吸収しやすくなると思われる.
本書に書いてあることは,ある意味では筆者にとって当然と思うことが多かった.しかし,当然と思うことを常に意識の片隅におき,
実践することがどれほど大切であるかを思い知らされる.本書は将棋という勝負を通じて書かれているが,これは日々勝負している
私たち現代人にも当てはまる部分が多いのではないだろうか.そのような観点からも本書はうまく読み換えることによって,実生活
で多分に参考になる部分が多い.
筆者が本書を読んで最も印象に残ったのは「勝ち」に対する態度である.氏は本書で『勝負に勝つには相手に自分の存在を認めさせること』
だと指摘している.筆者は虚をつかれたように思えた.筆者に足りないものはこれかもしれないと感じている.
女は男のどこを見ているか 岩月謙司(著)
ちくま新書

本書の帯や表紙の抜粋に失望し,長い間読まなかった.しかし,友人に貸してもらうかたちで読む機会を得た.
本書のタイトルから想像されるのは『恋愛指南書』だろう.実際筆者もそう思った.しかし,本書は一人の人間としての男性が
誇りを持ち(または取り戻し),どう人生を歩んだら良いかが書かれていて,「人生」とは何かを考えさせられる本であると感じた.
どうモテるかではなく,「イイ男」として生きるか? 本書は「イイ男」を『「イイ女」からみた「イイ男」』としている.
その定義に従えば,「イイ男」とは『勇気と智恵を使い,女性の呪いを解く努力をし,人の幸福を願い,人の不幸を悲しむことの
できる男性』のことだという.筆者は当初この部分を読んでまるで信じられなかった.しかし,真にこのような男性とは,
幼少期に『英雄体験』をして心を純粋にし,特に成人になってからは『自分の能力や自分の未来を信じて』『常にチャレンジ』し
続け,『常識に縛られることなく,美学を貫』き,『宿命を含めて自分を受け入れられる,人のすべてを受け入れられる人』で,
かつ『自己実現に向けて懸命に努力』し,静かに『誇り』を持つ人を指すことを知り,同性としても魅力を感じた.
本書を読み,筆者自身がとても小さな存在に感じた.その逆もしかりで,今まで行ってきたことには,静かに誇りを持ち,
これからの糧にしようとも感じている.まずは自分自身を見つめ,認めることを通して「あるべき自分」と「これからの自分」を
考えてゆこうと思う.
このところ,自分自身とって運命的というべき本に巡り会う.そのことだけでも私は幸せを感じる.この本との巡り会い一つを
とっても先入観を打破することが大切であることを学んだ.良い意味での「日本男児」でありたいと思う.
コトラーのマーケティング思考法 Philip Kotler,Fernando Trias de Bes(著)
東洋経済新報社

Philip Kotlerは「近代マーケティングの父」と呼ばれる有名な人物で数々の大手企業のコンサルタントを務める.
本書では既存のマーケティングを「バーティカル・マーケティング」と呼び,バーティカル・マーケティングは
現在の市場を細分化し,新たな市場を創出しにくいと指摘している.
『企業の成長と繁栄のためにはイノベーションが不可欠であり,企業は十分に市場調査を行い,
入念な計画を立てたにもかかわらず,新製品は極めて高い確率で失敗する.この原因は詳細に分析する必要があるが,
原因の1つは従来のイノベーション・プロセスそのものにある.このイノベーションが「バーティカル・マーケティング」
である.マーケターはバーティカル・マーケティングを補完する手法をマスターし,新たなカテゴリーや市場の創出に
つながる新製品・新サービスを開発してゆかなければならない.この手法によって開発された製品・サービスは,大きな
リスクを伴うものの,莫大な利益をもたらす可能性を秘めている.この基本となるのが「ラテラル・マーケティング」である.
ラテラル・マーケティングは明確な枠組みを持ち,それに沿って展開される.そのプロセスは誰もが学べるものであり,
バーティカル・マーケティングと同様,革新的企業の組織文化の中に根付かせることができる』とする.
本書ではバーティカル・マーケティングの基礎を復習した後,ラテラル・マーケティングの紹介とその実例,また実践するための
ヒントを提供している.後者はまだ理論として確立しておらず,会社ではまだ適用するにあたらない,との批判もあるが,
私は確立していないからこそ,取り組む価値があり,莫大な利益を得るチャンスが存在すると解釈した.皆がやっているなら,
それはもう「遅いこと」であると思うからだ.読者の方はどのような判断を下すであろうか.
本書を読んでいて,経済学の「ゲーム理論」を想像しながら読んだ.「経済学は実学ではない」という考えをお持ちの方も
いらっしゃることであろうが,社会科学という大きな枠組みで見た場合,経済学と現実経済,または経営学,マーケティングと
の理論的整合性どのように捉えるかによって,実学に十分になりえる.読んでいるとき,関連することが頭に浮かび,
自分自身であればどのように判断・行動するかを考える.これが考える読書であり,深い読み方であると考える.
頭がいい人、悪い人の話し方 樋口裕一(著)
PHP新書(PHP研究所)

大手予備校『東進ハイスクール』有名客員講師で小論文を担当している著者が,頭が悪い人の話し方を40の類型に分けて
解説する.章構成は
1.あなたの周りのバカ上司 −部下から相手にされない話し方−
2.こんな話し方では、異性が離れていく −だから女性に嫌われる−
3.絶対に人望が得られない話し方 −こんな人とはつきあいたくない−
4.こんなバカならまだ許せる −この程度なら被害はない−
となっており,特に私の興味を惹いたのは第2章と第3章である.全体で40も類型があるので,いくつかの類型にあたる
場合のでてくる読者が多いであろうが,私自身指摘されると(図星だ),(なるほど)と思う部分が多々あった.
本書の良いところは,その類型に属する人に対する周囲の対応方法や,それを自覚するためのワンポイントが述べられている
点であろう.私もバカと呼ばれないように,この本を話し方の虎の巻にしてみようと思う.
新約聖書入門 〜心の糧を求める人へ〜 三浦綾子(著)
知恵の森文庫(光文社)

同著,「旧約聖書入門[光と愛を求めて]」の続編.「旧約聖書入門」と共に購入した.新約聖書は4つの福音書,イエスの十字架,
イエスの死と復活,使徒行伝,使徒の書簡集からなる.
私が最初に疑問に感じたのは「福音」とは何か?という不遜なものであった.同書では『罪人である私たち人間に代わって,キリスト
が十字架にかかられた.そしてキリストは復活された.この十字架と復活を信ずることによって,永遠の救いが与えられる』と定義して
いる.それは『私たち人間の側に,何か誇るべき行為や功績があって神に救われるのではない.人間がいくらよいことをしたとしても,
人間は自分の罪を贖うことはできない.罪を購うことのできる方はキリストだけである.これがキリスト教の信仰の根本なのである』.
何だか分かるようで分からない.すなわち実感がわかないのである.しかし,同書を読み進めるうちに少しずつではあるが,理解できる
ようにしてくれているので,心配する必要はない.世界最大の宗教と言われるキリスト教思想の根本に触れることができる.
ところで本書では聖書の「聖句」が随所で挙げられている.最初に本書を読まれる場合,自分の糧になるような聖句を見つけてみる感覚
でお読みになってはいかがだろうか.以下では同書を通じて私の糧になりそうな聖句を少々挙げよう.
『汝の敵を愛せよ』
『彼は望み得ないのに,なおも望みつつ信じた』
『それだけでなく,患難をも喜んでいる.なぜなら患難は忍耐を生み出し,忍耐は練達を生み出し,練達は希望を生み出すことを,知っている
からである.そして,希望は失望に終わることはない』
『あなたがたは自分の持っている確信を放棄してはいけない.その確信には大きな報いが伴っているのである』
『悪をもって悪に報いず,悪口をもって悪口に報いず,かえって,祝福をもって報いなさい』
あなたも同書で心の糧となるような言葉を探されてはいかがだろうか.
国際人の英会話学習法 −フランス人もロシア人も中国人もこの方法で話せるようになった−
Steve Soresi(著) 角川Oneテーマ21

TOEFL,TOEIC対策をしている方はもうご存じかと思うが,静かなベストセラーとなりつつある.NHK教育TVの担当もしたことが
ある著者が,日本人の英語学習法は根本的に誤っていると指摘する.そのワースト2が「英パズル」と「英語鑑賞」.これら2つ
の具体例は,前者が整序英作文に代表される受験勉強,後者がNHKの多くのラジオ番組,英会話教室,学校の授業である.
ではどのような学習法が効果的なのか?それは本書を手に取られて読んで頂くことにしたいのだが,一点だけあげるとすれば,
まず得意な英語のフレーズを重要度の高いものから絞り,完全にマスターする.著者はこのことを「日本人に必要なものは「魚」では
なく「釣り竿」である」と述べている.これを用いて臨機応変に表現する力を身につけていけばよい.
本書には単語の覚え方が載っていない,という指摘がamazon.co.jpなどで見られるが,本書の中にしっかりと述べられている.これが
見つけられなければ,まず読者自身の日本語力を再検討されてはいかがだろうか.
最後は少々挑戦的になってしまったが,外国語学習法という大きな観点からも大変有意義な本であると思われる.文章自体は平易
なので,通勤通学時間に読まれてはいかがだろうか.
旧約聖書入門 〜光と愛を求めて〜 三浦綾子(著)
知恵の森文庫(光文社)

聖書というと,拒絶反応を示される方も少なくないだろう.この様な方々に是非読んで頂きたいのが本書である.
私は何もキリスト教の教えに触れ,理解せよと言っているのではない.私が本書を読んだとき,キリスト教の教えが
知りたくて読んだわけではない.彼女による小説「塩狩峠」を何度も読み,彼女の信条と生き方に興味を持ったから
である.本書は「旧約聖書」のうち,私たちがともすれば忘れ去っている心のありかた,行動に警鐘を鳴らす記述
を中心にまとめてくれている.
ところで読者は「十戒」というものをご存知であろうか.「十戒」は映画になったほどであるが,私たちは日ごろ
どれほど人のあるべき姿である十戒を守っているであるだろうか.そこに今の日本の堕落した姿に警鐘を鳴らす記述
が見つかるはずだ.他にも同様の聖書中の記述を散見できるが,敢えて割愛させていただきたい.
本書を読む場合には「自分はどうであるか」と自問しなが読むと,得られるものがより多くなるだろう.
最後に「究極のデジタルはアナログである」という言葉をご存知であろうか.究極のデジタル化が進む現在,人間の
あるべき姿を一度考えられてはいかがだろうか.